野球、やりませんか⁉

「ははっ。渡瀬、さすがに正直すぎでしょ、それ」

 有沢くんが、泣き笑いのような表情を浮かべる。


「あーもう、ほんとに……想定外すぎなんだけど、二人とも」

 顔をうつむかせてそうつぶやくと、有沢くんがもう一度わたしたちの方を見る。


「だったら俺も正直に言うけどさ、また期待して裏切られんのが、ずっと怖かったんだ。だから、ダイを言い訳にして、逃げようとしてた。けど俺、ほんとはずっと……したかった、野球」


 ああ、有沢くんがやっと本音を言ってくれた。


 有沢くんの頬を一粒の涙が伝うのを見て、わたしも堪えきれなくなった涙がぼろぼろとこぼれ落ちる。

 必死に手の甲で涙を拭うと、わたしは改めて二人の方を見た。


「それじゃあ二人とも、野球部に入ってくれる?」


 お互いちらっと視線を交わすと、有沢くんと渡瀬くんが同時にうなずいてくれた。


「ダイ」

 有沢くんが、静かに呼びかけながら大希くんの方を見る。

「さっき、『どうしたらいいんだよ』って俺に聞いたよね? そうじゃなくてさ、ちゃんと自分で考えてみなよ。自分はどうしたらいいか」

 大希くんは、有沢くんの目をじっと見つめ、耳を傾けている。


「俺はダイのこととか関係なく野球をやるって決めたから。だからダイも、俺のことはどーでもいいから、これからの自分のこと、ちゃんと考えてよ」

「……うん……わかった。ちゃんと考えるって、約束する」