今日から野球部はじめますっ!

「やっぱおまえ、ユウの知り合いなんだな?」

「えーっと……」


 ど、どうしよう。

 本当のことを言って絡まれるのも怖いけど、ウソをついたのがバレてキレられるのはもっと怖いし……。


「おいっ、聞こえてんなら、さっさと答えろ」

「ひぃっ……!」

 学ラン男子にすごまれ、恐怖で体を縮こまらせていたら、目の前に大きな背中がぬっと現れた。


「有沢の話なら、僕が代わりに聞く。要件はなんだ」

 わたしと有沢くんの弟っぽい人の間に割って入ってくれたのは、渡瀬くんだった。


 だけど、そのとき――。


「おい! そこでなにを騒いでる。学校名と名前を言いなさい!」


 やばっ。生活指導の奥山先生が、怒鳴りながら職員室を出て、こっちに向かって走ってくる。

 制服のスカートが短かったり、ネクタイを緩めていたりすると、あっという間に捕まって、生徒指導室行きになるのだとか。

 有沢くんの弟が奥山先生に捕まったら、家にまで連絡されちゃうかもしれない。

 そしたら有沢くん……。


 ……あぁっ、もう! 怖いとか言ってる場合じゃない。


「こっちに来て! 早く‼」

「は? なんだこの女」

 わたしに腕をつかまれ戸惑った声を出す彼の背中を渡瀬くんが押す。


「いいから。捕まりたくなかったら全力で走れ!」


 三人で校門から勢いよく駆けだすと、「おまえたち、今すぐ止まれーっ‼」と怒鳴る奥山先生の声が、だんだん小さくなっていった。