今日から野球部はじめますっ!

 放課後、帰ろうとしている有沢くんに声をかけ、二人で校舎裏へとやってきた。

 内容が内容なだけに、他の人には聞かれない方がいいんじゃないかと思って。


「俺に『気をつけろ』って言われたって? その理由を本人に直接聞きにくるってさあ、さすがに危機感なさすぎじゃない?」

 有沢くんが、くくっとお腹を抱えるようにして笑う。


「う……そ、そうだよね」


 危険人物からはほど遠いイメージだったから完全に油断してたけど。

 本当に気をつけなくちゃいけない人だったら、こんなところで二人きりになるなんて、あまりにも危機感がなさすぎだったかも。


「ははっ。冗談だって。ま、いきなり殴りかかったりしないから、そこは安心して」

「う、うん……」

「けどまあ、俺とみんなのとこまわってるときに、棚橋もさすがになんか察したでしょ?」


 たしかに、最初の渡瀬くんだけじゃなく、どこに行ってもみんなわたしの隣に立つ有沢くんのことをチラチラ見てたっけ。


 すごいピッチャーとして有名なのかも! ……なんて、そのときはのんきなことを考えていたんだけど。

 今思い返してみると、みんな、有沢くんのことを警戒していたのかもしれない。


 つまり、渡瀬くんが言ってた『気をつけろ』の意味を、他の人たちはみんな知ってるってことで。

 知らないのは、ひょっとしてわたしだけ……?