今日から野球部はじめますっ!

 でも、みんなは違う。

 まだ続けるっていう選択をしたから、ここに来たんだよね?

 なのに、本当にこのまま野球ができなくてもいいの?


 渡り廊下で立ち止まると、手すりに頬杖をついて、「はぁ~~」と大きなため息をつく。


「――アイツといつまで関わっているつもりだ?」


 不意に声がしてパッと振り向くと、渡瀬くんが眉間にシワを寄せて立っていた。


「アイツがいるかぎり、部員が集まることは絶対にない」

「アイツって……ひょっとして、有沢くんのこと?」

「そうだ。他に誰がいる」

「そ、そうだけど……なんで有沢くんがいると、誰も野球部に入ってくれないの?」

「……個人情報をペラペラしゃべる趣味はない。とにかく、アイツには十分気をつけろ。今僕が言えるのは、それだけだ」

 それだけ言うと、わたしが問い返す間もなく渡瀬くんは行ってしまった。


 ちょっとぉ。そういう意味深な言葉だけ残して行っちゃわないで~‼


 だいたい『気をつけろ』って、なにをどう気をつけたらいいわけ?

 へらへらしてて、つかみどころがない人っていうだけで、危険な感じは全然しないんだけど。


 まさか、満月を見たらオオカミ男に変身する……とか、そういうヤツじゃないよね⁇

 ファンタジーの世界じゃあるまいし。


 うーん……あぁっ、もう! 悩んでる時間がもったいない。

 こうなったら、本人に直接聞きにいこう。