今日から野球部はじめますっ!

 いやいや、一人に断られたからって、落ち込んでいるヒマはない。

 思わずうつむきそうになる顔を必死にあげ、翌日も一日かけて片っ端から声をかけてまわったんだけど……。


「ね。これが現実。わかったら、さっさとあきらめな?」

 へらりと笑うと、わたしに背を向け去っていく有沢くん。


「え、ちょっと待っ……」


『もし全員のとこまわってもメンバーが集まらなかったら、そこでこの話は終わり』

 有沢くんとした約束を思い出し、わたしは途中で言葉を飲みこんだ。


 野球のできる人数どころか、一人もOKがもらえなかった。

 なんで? どうして誰も入ってくれないの?

 みんな、野球をやるためにこの学校に来たんだよね?


 でも……なんとなくだけど、有沢くんは最初からこうなるってわかってたような気がする。

 だから、わたしをあきらめさせるために、勧誘活動に付き合ってくれたんじゃないかな。


 だって、判で押したように、だいたい答えはみんな同じだったんだもん。

『竜崎監督がいないなら、入るつもりはない』

『小学校までで、野球はやめるつもりだった』


 つまり、竜崎監督は、野球をやめてしまいそうな子ばかりに声をかけていたんだ。

 ……わたしみたいに。


 結局わたしは、竜崎監督の誘いも断って、本当にやめる方を選んだんだけどね。