アオハル☆ベースボール


「あのっ、わたし、実は野球部を作ろうと思ってて。それで――」

「あー……俺、もう野球する予定ないから。ごめんねー。他当たってくれる?」

 わたしの言葉を途中でさえぎると、有沢くんがへらりと笑う。


 けど、その表情とは裏腹に、言葉の中に有無を言わせない強い拒絶の意思を感じる。


『そっか。ならしょうがないね』……って思わず引きそうになる自分にカツを入れると、もう一度口を開く。


「でも、説明会のとき――」

「あー……うん、そうそう。一応ね、やるつもりでここ来たんだけどさー。誘ってくれた監督がいないんなら、ま、いっかーって思って。俺、本当はもうやめるつもりだったし」

 ずっとへらへら笑いながらしゃべる有沢くんの表情に、一瞬だけ影が差す。


 ねえ、やっぱり本当はやめたくないから、竜崎監督の誘いを受けて、ここに来たんじゃないの?


「ってことで、俺、今からサッカー部に入部届出しに行くとこだから」

 ひらりと手を振って、有沢くんがわたしの横を通りすぎようとする。


「ま、待って!」

 両腕を広げて通せんぼするわたしを見て、有沢くんが小さくため息をつく。


「説明会で文句言ってたヤツら、たぶんみんなここに来るはずだった監督に誘われて来たわけ。その監督がいないのに野球がやりたいなんて物好きなヤツ、一人もいないって」