アオハル☆ベースボール

「しょうがないから、今月中は野球部にグラウンド使わせてやるよ。いいですよね、大森先生」

 少し長めの茶髪の先輩が、大森先生に許可を取るようにしてたずねる。


 なんだかもうサッカー部のものみたいな言い方。


 悔しくて、きゅっとくちびるをかみしめる。


「うーん、そうだなあ……」

 先輩たちに迫られ、大森先生が困惑した表情で言葉をにごす。


「――いいんじゃないですか?」

 突然うしろで声がして、わたしたちは一斉に声の方を見た。


「り、理事長」

 大森先生が、戸惑ったような声を出す。


 そう。そこにいたのは、この四月に理事長に就任したばかりの鏑木理事長先生だった。

 歳は、わたしのお父さんと同じくらい。はち切れんばかりのでっぷりとしたお腹を、高そうなスーツの下に隠し、顔には嫌味な笑みを浮かべている。


 ちなみに、前理事長は今の理事長先生のお父さんで、今年の二月に急病で亡くなってしまったんだって。


 もし前の理事長先生がいてくれたら、こんなことにはなってなかったかも……なんて考えても仕方ないことは、できるだけ考えないようにしてる。