野球、やりませんか⁉

 あのとき言った言葉が、まさかこんな形で返ってくるなんて。


 足を引っ張るかもとか、男子には絶対勝てないとか……本当に考えなくてもいいの?


「……うん。大好きだよ、野球。だからわたし、みんなとこれからも野球がしたい」


 有沢くんが、『それでいーんだよ』とでも言うかのように、大きくうなずいてくれる。


「よしっ、そんじゃ決まり。ってことで、広場まで競走な!」

 そう言うと、有沢くんがおもむろに駆けだした。


「えぇっ、ズルいってば。ちょっと待ってよ!」

 有沢くんの背中を追って、わたしも必死に走る。


「走れ走れーっ!」


 もうっ。勝てるわけないじゃん!

 足の長さが全然違うんだから!


 でも……いつか追いつきたい。

 胸を張って有沢くんの隣に並んで走れるようになりたい。


 そんな未来を想像して、思わず口元がほころんだ。


(了)