野球、やりませんか⁉

「まあ、顧問の先生と、部員が五人以上いれば、制度上新しい部活を作ることは可能なはずだが」

「そうなんですか⁉ だったら、顧問の先生と部員は、わたしが集めます。だからさっきの、野球部用に作ったグラウンドをサッカー部が使うっていうお話は、ナシにしてください。お願いします!」

 三人に向かってもう一度必死に頭を下げる。


 さっきまでは絶望しかなかったのに。

 突然目の前に現れた希望のかけらを、絶対に逃しちゃダメだ。


「はあ? ちょっと待てよ。俺ら、本気で全国狙ってんだけど」

「マジでできるかもわかんねえ野球部のために、俺らにグラウンド使うなって? なにふざけたこと言ってんだよ」


 うわわっ、サッカー部の先輩たちが、めちゃくちゃ怖い顔でわたしのことを睨んでくる。

 けど……一度サッカー部のものになってしまったら、きっと取り戻せなくなる。

 絶対に諦めちゃダメだ。


 逃げたくなるのを必死に堪え、ぐっとこぶしに力を入れて先輩たちの顔を見据える。


「だったら、せめて野球部が作れるかどうかわかるまでだけでも、野球部用のグラウンドを使うのは待ってください。お願いします!」

「なら、四月の終わりまでに野球部作って、一勝できたら譲ってやるよ」

 髪が短くて背の高い方の先輩が、イジワルそうな顔でわたしのことを見おろしてくる。


「え、ちょっと待ってください。そんなこと……」

「こっちは全国目指してやってんだよ。そのくらいできなきゃ、俺らがグラウンド使ってもいいよなあ?」