野球、やりませんか⁉

 ひょっとして、あのウワサは本当だったってこと?

 竜崎監督が、中学時代に肩を壊して投げられなくなったって。

 そのことに責任を感じて、猪尾先生が野球部の監督をやめ、星黎学園野球部は廃部になった……?


 隣に立つ有沢くんの横顔をそっと見あげると、有沢くんは猪尾先生に真剣な眼差しを向けていた。


 有沢くんも気づいたのかもしれない。

 猪尾先生が、監督を拒む理由に。


「猪尾先生。ご存知だとは思いますが、今はピッチャーの肩を守るために、投球制限もきちんとされています。それに俺、肩を壊さないようにするためのトレーニングだけは、ピッチャーを始めてからずっと続けています。本当は……野球を続けたかったから。だから先生、お願いです。俺たちの監督になってください」

 深々と頭を下げる有沢くんのことを、猪尾先生がじっと見つめている。


 小さく息を吐くと、猪尾先生がゆっくりと口を開いた。


「竜崎先生にも、君たちのことを頼まれてしまいましたしね。わかりました。定年までのあと三年。君たちと、もう一度野球をやらせてもらえるかな」

 猪尾先生の言葉を聞いた瞬間、不安そうに先生を見つめていたみんなの顔が、パッと華やいだ。


「「「「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」」」」