野球、やりませんか⁉

「ねえ、羽瑠ちゃん。そろそろそいつにも飽きてくる頃なんじゃない?」

 飽きて……くる?


 八柳くんの言っている意味がよくわからず、こてんと首をかしげる。


「うわっ、今までにないパターン。おっけー羽瑠ちゃん。そーいうとこ、やっぱ好きだわ」

「「はあ⁉」」

 わたしと有沢くんの声が重なる。


「だから、そういう冗談はよくないってば!」


 初めて会ったときといい、そんな冗談ばっかり言うんだから、もうっ。


「誰に対しても愛想がいいからさ。そのせいでちょっと行き過ぎたファンが多くて『女性トラブルが多い』なんて言われてるみたいだけど、八柳くん自身は昔から意外と一途なんだよね」

 土谷くんがそんなことをつぶやくのが聞こえたような……いや、きっと空耳に違いない。


 そう自分に言い聞かせていると――。

「猪尾先生」

 竜崎監督の声がして、わたしは反射的に声の方を見た。


「もう野球部に関わるつもりはなかったんですけどね」

 猪尾先生が、目の前に立つ竜崎監督に向かって曖昧な笑みを浮かべている。


「あれは、猪尾先生の責任ではありません。もう忘れてください」

 猪尾先生が、竜崎監督をじっと見つめている。