「ま、いくら理事長でも、『やっぱり野球部なしね』とはさすがに言えないでしょ」
有沢くんの声がすぐそばでして、隣を見あげると、有沢くんは去っていく理事長先生の背中をじっと見つめていた。
「お疲れ、キャプテン」
そう言ってわたしの方を見た有沢くんの顔が、あまりにも晴れ晴れとしていて――。
ああ、そっか。わたしたち、ちゃんと勝ったんだ。
試合にも。それに、理事長先生との勝負にも。
そんな実感がやっと湧いてきた。
「よ、よかったぁ」
なぜだか急に力が抜け、その場にカクンとしゃがみ込む。
「棚橋⁉」
有沢くんの慌てた声が頭の上に降ってくる。
「だ、大丈夫。安心して腰が抜けちゃっただけだから」
あははははと笑ってごまかしながら立ちあがろうとしていたら、有沢くんが、スッと右手をわたしの目の前に差しだした。
「有沢くんも、本当にお疲れさま。ナイスピッチだったよ」
差しだされた手に気づかないフリをしてわたしが自力で立ちあがると、有沢くんは行き場を失った右手を自分のうしろ頭へと持っていく。
「おう……さんきゅー」
ちらっと有沢くんを見ると、ぎこちない笑みを浮かべた有沢くんと目が合い、お互いスッと目をそらした。
「ぷっ。フラれてやんの」
八柳くんが、笑いながらすぐそばを通りすぎていく。
「いちいちうるさいよっ」
有沢くんが八柳くんに蹴りを入れるような仕草をすると、それをうまくかわした八柳くんがわたしの方を振り返る。
有沢くんの声がすぐそばでして、隣を見あげると、有沢くんは去っていく理事長先生の背中をじっと見つめていた。
「お疲れ、キャプテン」
そう言ってわたしの方を見た有沢くんの顔が、あまりにも晴れ晴れとしていて――。
ああ、そっか。わたしたち、ちゃんと勝ったんだ。
試合にも。それに、理事長先生との勝負にも。
そんな実感がやっと湧いてきた。
「よ、よかったぁ」
なぜだか急に力が抜け、その場にカクンとしゃがみ込む。
「棚橋⁉」
有沢くんの慌てた声が頭の上に降ってくる。
「だ、大丈夫。安心して腰が抜けちゃっただけだから」
あははははと笑ってごまかしながら立ちあがろうとしていたら、有沢くんが、スッと右手をわたしの目の前に差しだした。
「有沢くんも、本当にお疲れさま。ナイスピッチだったよ」
差しだされた手に気づかないフリをしてわたしが自力で立ちあがると、有沢くんは行き場を失った右手を自分のうしろ頭へと持っていく。
「おう……さんきゅー」
ちらっと有沢くんを見ると、ぎこちない笑みを浮かべた有沢くんと目が合い、お互いスッと目をそらした。
「ぷっ。フラれてやんの」
八柳くんが、笑いながらすぐそばを通りすぎていく。
「いちいちうるさいよっ」
有沢くんが八柳くんに蹴りを入れるような仕草をすると、それをうまくかわした八柳くんがわたしの方を振り返る。



