追憶のスペア

恋愛(ピュア)

追憶のスペア
作品番号
1777674
最終更新
2026/03/19
総文字数
15,418
ページ数
13ページ
ステータス
未完結
PV数
0
いいね数
0

この作品は✾雫乃✾さんをファン登録すると読むことが出来ます。



​「私を形作っているのは、誰の思い出ですか?」


​朝起きて、鏡を見て、朝食を食べる。
そんな当たり前の日常が、ある日、音を立てて崩れ去った。

​テレビの中で死んだ「私」と同じ名前。
同じ顔、同じ声、同じ年齢。
けれど、彼女は本物で、私はただの偽物だった。


​【スペア(予備体)システム】


20XX年。
選ばれた富裕層の家庭では、愛する我が子のもしもに備え、最先端の技術を用いて遺伝子的に同一の人間――スペアを人工的に作り出す。


スペアは、ドナーが事故や病に見舞われた際、移植用の臓器や血液を即座に提供するためだけに存在する。


何不自由ない暮らし、温かい里親、平凡な学校生活。
その全ては、ドナーの育つ環境に近づけ、良質な部品を育てるためのシミュレーションに過ぎない。


――ドナーが死ねば、スペアの本来の役割は終わる。はずだった。


​「中身が違うのに、同じ顔ならそれでいいの?」


大人たちの勝手な願いに、私の心は悲鳴を上げる。
大好きだった家族も、親友との笑い声も、全部が「本物」に似せて作られた紛い物。


私の15年間は、誰かのための「予備」として管理されていた時間だった。
​そんな泥濘のような絶望の中で、私は彼に出会った。


蒼井 怜人。
あの子が愛し、あの子を愛していた、たった一人の男の子。


​彼が私を見て零した涙は、私に向けられたものじゃない。
彼が私を呼ぶ優しい声は、死んだあの子を呼んでいる。



分かっている。


分かっているのに。


「⋯⋯ねえ、もし私が、あの子じゃなくても。あなたは私を見つけてくれましたか?」


​追憶の中にしかいない「本物」と、今ここで息をしている「偽物」。


鏡合わせの二人が織りなす、痛いほどの純愛SF。



​――私は、あなたの「代わり」になりたいわけじゃない。


あらすじ

中学3年生の山谷由依香は、ある日突然、自分が富裕層の娘の「身代わり(スペア)」として作られた存在であることを知る。
本物の由依香は事故で即死。
残されたのは、自分と瓜二つの「予備」の体だけだった。

絶望の中、由依香は本物の恋人・蒼井怜人と出会う。
彼が愛しているのは、死んだ「私」か、それとも目の前の「私」か。

偽物の体で始まった、あまりにも残酷で純粋な初恋の物語。

目次

  • プロローグ

  • 一章

    • 宣告

  • 二章

    • 逆心

    • 虚縁

この作品の感想ノート

この作品には、まだ投稿されていません。

この作品のひとこと感想

この作品には、まだ投票されていません。

この作品をシェア

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

pagetop