クールな年下男子と、甘い恋を。

 おかしいな、昨夜のラインでは普通に話してたのに。
 学校面倒だな、なんて愚痴ってたのに。
 冷たいと感じるのは気のせい……だよね?

 他の生徒の目を気にしてるとか、寝不足で不機嫌だとか、とにかく他の理由があるに決まってる……そう思いたい。
 視線が合ったのはほんの一秒のことだけで、漣里くんはすぐに視線を逸らしてしまった。

「成瀬先輩……!?」
 不意に現れた全校生徒の憧れの的、男性ながら高嶺の花とでもいうべき葵先輩に、みーこが氷みたいにかちんと硬直した。
 顔が真っ赤に染まっている。
 周りにいる生徒――主に女子――も似たような反応だった。

「おはよう」
「おはようございます、成瀬先輩」
 葵先輩の、王子様のごとき優雅な微笑を受けて、私は軽く会釈した。
 二人とも他の生徒たちと同じ夏服姿なのに、どうして彼らだけ特別な衣装を着て見えるんだろう。

「夏休みも終わっちゃったね。また今日からお互い、学校頑張ろうね」
「はい」
「じゃあ」
 葵先輩は綺麗な微笑を残して立ち去った。
 漣里くんも先輩と一緒に歩いていく。

 ……あ、漣里くんと挨拶できなかった。残念。
 さっきの様子も気になるし、また後でラインしてみよう。
 喧嘩とかしてないはずなんだけどな。
 私、彼の機嫌を損ねるようなこと、何かしたっけ……?