クールな年下男子と、甘い恋を。

「葵先輩。こんばんは」
「こんばんは。奇遇だね。僕は勉強会の帰りなんだけど、真白ちゃんもどこかからの帰り?」
「はい。友達と遊んでて、ファミレスで話してたら遅くなっちゃいました。こんな時間まで勉強会って、凄いですね」
 私は葵先輩が肩にかけている鞄を見て、感心した。
 きっと鞄の中には参考書や問題集の類が入っているのだろう。

「実際は雑談がメインになってたけどね。受験生なのにこんなことじゃまずいんだろうけど」
 葵先輩は綺麗に笑った。
「ちなみに、どちらの大学を受験される予定か、聞いても良いですか?」
「明洸大学の獣医学部」
「ええええ、凄いですね!」
 獣医学部といえば、医学部に次いで難しいことで有名だ。
 しかも明洸大学は国公立の中で最も高い偏差値が要求される、超難関大学。
 私が志望大学として先生に言えば「正気か?」と真顔で返されるであろう大学名をさらっと……!?
 いや、でも、常に学年上位の成績を誇る葵先輩なら不可能じゃない。
 前回のテストでは学年トップだったらしいし、先生も「お前ならできる」と応援しそうだ。

「いや、合格するかどうかもわからないし。浪人は半分覚悟の上だよ」
 葵先輩は微苦笑して片手を振った。
「半分で済むところが凄いです……」
 さすが葵先輩だ……私なら何回チャレンジしても入れないと思う……。