クールな年下男子と、甘い恋を。

「私は駅前の本屋にでも行こうかな」
「なら付き合う」
「え、でも、長くなるかも……」
「いいよ。どうせ暇だし。兄貴にもゆっくりして来いって言われた」
「……そっか。じゃあ、付き合ってもらおうかな」
 笑顔を作って歩き出すと、漣里くんは自然と私の右隣に並んだ。

 一緒に歩くとき、漣里くんは車道側を歩いてくれる。
 私に気を遣ってくれているのだろう。
 彼はいつも優しい。

 ――でも、それは私が特別だからじゃない。
 きっと誰に対しても、彼は優しい。
 笑顔を向けてくれたことだって、何も特別な意味なんてなかった。

 パンケーキでも彼は笑うんだ。
 おいしいものを食べたときだって、彼の無表情は崩れるんだ。

 ――真白ちゃんのこと気に入ってるみたいだね……

 違う。全然、違った。

 ――本当。おまじないしてもらったから。

 あの笑顔も、私の手を包んだ温もりも、何もかも。
 何一つ、特別なことじゃなかった。