クールな年下男子と、甘い恋を。

「ご――」
 目的地点まであと三歩という距離で、私は微笑を浮かべ――かけて、大きくつんのめった。
 漣里くんが驚きに目を見開いている。
 どうやら、地面のくぼみに右足のサンダルの踵が取られたらしい。

 ちょっと待ってぇぇぇ!?
 心の中で盛大な悲鳴をあげる。
 身体が傾くのをどうしようもできず、私はギュッと目をつむった。

 すると、漣里くんは私をすくい上げるように抱き抱え、引っ張り上げてくれた。

 彼の肩に私の額がぶつかって止まる。

「…………」
 目を開けると、私はベンチに上半身から倒れ込むような格好で、漣里くんに抱きしめられていた。
 ほんの数秒に満たない時間に起きた出来事に、心臓が跳ね回っている。

 耳のすぐ傍で漣里くんの息遣いを感じる。
 お互いの体温を感じる密着状態に、何も言えない。

 ただ顔の温度だけが急上昇していく。

「……す、すすすすすすすみませんでしたっ!!」
 身体を引き剥がして、漣里くんの腕から抜け出し、軍人さんみたいにピシッとまっすぐに立つ。

 恥ずかしさと罪悪感で頭の中はぐちゃぐちゃだ。
 顔は火照ったように熱い。

 私と同じように、漣里くんの顔も真っ赤だった。
 目が気まずそうに横を向いている。
 彼が照れているのかわかって、私の頭はもうオーバーヒート寸前。