「子どもが転んだときとかさ。一人だと転んでも泣かないのに、お母さんが『大丈夫?』って声をかけると、途端に泣き出しちゃうことってあるじゃない?」
「ああ。あるな」
「あれは自分を守ってくれるお母さんの存在に安心して、気が抜けちゃうからだと思うんだよね。このおまじないもそう。痛いの痛いのとんでけーって誰かに言われると、ああ、この人は自分がいま、痛くて苦しいことをわかってくれてるんだなって、安心するんだ。そうしたらどんなに痛くても、苦しくても、その言葉が支えになる。痛みに立ち向かう勇気をくれる」
「…………」
「なので、なんというか、その……気休めにでもなればなーと……思います」
私はだんだん頭を低くしていった。
漣里くんが何も言わないから、恥ずかしい。
子どもっぽいと思われたかな……痛い奴だって思われたらどうしよう。
上目づかいに様子を窺うと、漣里くんは無表情。
左手の絆創膏を見下ろして黙っている。
もう馬鹿にされてもいい。
なんでもいいから、お願いだから何か言ってください……!
「大怪我ならともかく、たかがかすり傷に大げさじゃないか」
沈黙の果てに、漣里くんが言った。
そこでやっと私も顔を上げて、言い返すことができた。
「ああ。あるな」
「あれは自分を守ってくれるお母さんの存在に安心して、気が抜けちゃうからだと思うんだよね。このおまじないもそう。痛いの痛いのとんでけーって誰かに言われると、ああ、この人は自分がいま、痛くて苦しいことをわかってくれてるんだなって、安心するんだ。そうしたらどんなに痛くても、苦しくても、その言葉が支えになる。痛みに立ち向かう勇気をくれる」
「…………」
「なので、なんというか、その……気休めにでもなればなーと……思います」
私はだんだん頭を低くしていった。
漣里くんが何も言わないから、恥ずかしい。
子どもっぽいと思われたかな……痛い奴だって思われたらどうしよう。
上目づかいに様子を窺うと、漣里くんは無表情。
左手の絆創膏を見下ろして黙っている。
もう馬鹿にされてもいい。
なんでもいいから、お願いだから何か言ってください……!
「大怪我ならともかく、たかがかすり傷に大げさじゃないか」
沈黙の果てに、漣里くんが言った。
そこでやっと私も顔を上げて、言い返すことができた。



