クールな年下男子と、甘い恋を。

「ああ。昼食を作ってたときに、油で滑って。切っただけ」
 漣里くんは傷を隠すように、メニュー表の後ろに指を隠した。

「『だけ』じゃないよ。結構酷い怪我じゃない。ちゃんと消毒したの?」
「いや、この程度の怪我なら放置しても治るだろ」

 小さな怪我なんてどうでも良い。
 そんな彼の態度に、私はムッとした。

「ご飯の前に、怪我の手当てが先だね」


 お店には万が一に備えて救急箱がある。
 私は漣里くんの向かいの席に座り、彼の指に絆創膏《ばんそうこう》を貼った。

「痛いの痛いのとんでけー」
 漣里くんの左手を包んで唱える。

「…………」
 はっ!
 漣里くんが何か言いたそうな顔をしている!
 厨房から、お母さんがニヤニヤしながらこっちを見てる!!

 私はリンゴみたいに顔を赤くしながら、ぱっと手を離した。

「ご、ごめん。子どもっぽかったね。怪我の手当をした後はお母さんがいつもやってくれるの。深森家では恒例になってて、つい」
 私は照れ笑いを浮かべた。