クールな年下男子と、甘い恋を。

 楽しいイベントはあっという間に過ぎるもの。
 一日目の文化祭が終わり、二日目の後夜祭――午後六時。

『後夜祭の時間になったら、ドレスに着替えて教室で待ってて。漣里を迎えに行かせるから』
 葵先輩からそんなメッセージを受け取った私は暗い自分の教室に一人、ぽつんと立っていた。

 この時間帯、生徒は体育館か講堂にいなければならない。
 教室にいるのがばれたらまずいため、電気はつけられなかった。

 後片付けの終わった無人の教室は、いつも通り綺麗に整えられている。
 教室に落ちる暗闇と静寂は、夕方まで行われていた文化祭がまるで夢だったかのように錯覚させた。

「…………」
 更衣室で着替えを済ませた私は、ピンクのパステルカラーのドレスを着ている。

 ふんわりしたフレアスカートに、腰にはリボン。
 頭には漣里くんがくれたヘアピン。

 足には踵のほとんどないパンプスを履き、顔には薄く化粧して、色つきのリップを唇に塗っていた。

 準備は万端。
 ……でも、肝心のお相手が来てくれるのかどうか……
 葵先輩が約束してくれたんだから大丈夫だろう、という気持ちと、あの照れ屋の漣里くんが本当にその気になってくれるのだろうか、という気持ちがせめぎ合っている。