「ちょっと成瀬くん、表情硬いよ? 笑って? ……あー……うん、笑顔……まあ、一応笑顔か……なんていうか、めっちゃ怖い笑顔だね……」
彼女は根気よく付き合ってくれて、五回ほど写真を撮ってくれた。
お礼を言って彼女と別れ、撮ってもらった写真を確認し、一番写りが良かったものを漣里くんにも送る。
それから、私は『後で漣里くん一人の写真も撮らせてもらう』という約束を取り付け、再び壁際に立った。
漣里くんはとても真剣な表情で私の写真を撮った。
立場を変えて、今度は漣里くんが壁際に立つ。
私は携帯を構え、漣里くんの上半身が入るように調整した。
ポジションはばっちり……なんだけど、漣里くんはものの見事に仏頂面。
一応ピースはしてくれた。
でも、本当に写真が苦手らしく、数回撮っても自然な笑顔が引き出せない。
二人で写った写真でも睨んでいるような有様で、道理で撮影係をしてくれた女子生徒が苦言を呈するわけだと納得した。
私は諦めて携帯を下ろし、最高の一枚を撮るために言い聞かせた。
「いい? 漣里くん。よーく想像力を働かせて」
催眠術でもかけるように、人差し指を振る。
「いまは授業の間の短い休憩時間中だと思って。お互い移動教室で、私の傍にはみーこがいて、漣里くんの傍には相川くんがいる。私たちは本当に偶然会っただけ。そういうシチュエーションなの。わかった?」
「? ああ」
「それじゃ、私は五秒後にここに来るから、気負わず、いつもみたいに反応してね」
私は手に携帯を持ったまま、いったん教室棟の中へと引っ込んだ。
数秒待ってから、渡り廊下へと出て行く。
私は偶然漣里くんと会った風を装って、驚いた顔をし、それから笑って手を振った。
彼女は根気よく付き合ってくれて、五回ほど写真を撮ってくれた。
お礼を言って彼女と別れ、撮ってもらった写真を確認し、一番写りが良かったものを漣里くんにも送る。
それから、私は『後で漣里くん一人の写真も撮らせてもらう』という約束を取り付け、再び壁際に立った。
漣里くんはとても真剣な表情で私の写真を撮った。
立場を変えて、今度は漣里くんが壁際に立つ。
私は携帯を構え、漣里くんの上半身が入るように調整した。
ポジションはばっちり……なんだけど、漣里くんはものの見事に仏頂面。
一応ピースはしてくれた。
でも、本当に写真が苦手らしく、数回撮っても自然な笑顔が引き出せない。
二人で写った写真でも睨んでいるような有様で、道理で撮影係をしてくれた女子生徒が苦言を呈するわけだと納得した。
私は諦めて携帯を下ろし、最高の一枚を撮るために言い聞かせた。
「いい? 漣里くん。よーく想像力を働かせて」
催眠術でもかけるように、人差し指を振る。
「いまは授業の間の短い休憩時間中だと思って。お互い移動教室で、私の傍にはみーこがいて、漣里くんの傍には相川くんがいる。私たちは本当に偶然会っただけ。そういうシチュエーションなの。わかった?」
「? ああ」
「それじゃ、私は五秒後にここに来るから、気負わず、いつもみたいに反応してね」
私は手に携帯を持ったまま、いったん教室棟の中へと引っ込んだ。
数秒待ってから、渡り廊下へと出て行く。
私は偶然漣里くんと会った風を装って、驚いた顔をし、それから笑って手を振った。


