クールな年下男子と、甘い恋を。

「どうぞどうぞ。勝負なんてしなくて良いです。ちょうどいまお客さんも少ないですし、貸出時間は三十分と言わず一時間でいいですよ」
「ぶっちゃけると必要なのは真白当人じゃなくて衣装なんで」
「遠慮せず持ってっちゃってください」
「不束なクラスメイトですがよろしくお願いします」
「え、あの、ちょっと?」
 悪ノリしたクラスメイトたちにぐいぐいと背中を押され、つんのめりそうになる。

 そんな私の肩を漣里くんが掴み、引き寄せた。

「ありがとうございます。じゃあ遠慮せずもらっていきます」
 堂々とした漣里くんの態度に、ひゅー、と口笛があがる。

 え、え、もらうって。
 ぱくぱくと真っ赤な顔で口を動かしている私を無視して、漣里くんは私の手を引いた。

「あ、じゃあ、これだけ」
 出かけるならせめてうさぎの耳は外そうと思い、カチューシャに手をかけると。

「駄目」
 漣里くんに手を掴んで止められた。

 どうやらうさぎの耳は外してはいけないらしい。
 もはや何も言えなくなる。

 笑顔の葵先輩に手を振られ、背中にクラスメイトからの冷やかしの声を受けながら、私は漣里くんに手を引かれるまま教室を後にした。