クールな年下男子と、甘い恋を。

「僕が勝ったらキャンディーはいらない代わりに、30分だけ深森さんの時間をもらうっていうのはダメかな?」
「え」
「シンデレラの魔法が解けちゃうと、弟が残念がるから。写真だけでも撮ってあげてほしいなって」
「何言い出すんだよ」
 漣里くんが困惑したように兄を見た。

「深森さんのこんな格好が見られるのはいまだけだよ? 惜しくないの?」
「それは……」
「いいから任せて」

 黙り込んだ漣里くんから視線を外して、再び葵先輩は私と目を合わせる。
「どうかな?」
「いえ、でも……」
 私の一存で決められることじゃない。
 困って辺りを見回すと、近くにいた女子が私の肩を叩いた。

「先輩のお願いを断れる人間なんて時海にいるわけないじゃないですか」
 他のクラスメイトも概ね似たような反応だった。
 どんな我儘だろうと、葵先輩なら仕方ない――そんな空気だ。これぞカリスマである。