クールな年下男子と、甘い恋を。

 ハムスターのゆきと遊んだ後、私は手を洗って階下に降りた。

「お帰り。漣里は?」
 変わらずリビングにいた葵先輩はテレビを切り、尋ねてきた。

「トイレです」
 葵先輩と向かい合って座り、空席に残された漣里くんのコーヒーを眺める。
 漣里くんのコーヒーは糖度120%。葵先輩のブラックのそれとは色が全然違う。

「そっか。後夜祭は漣里と踊るの?」
 葵先輩の視線は私のヘアピンにあった。
 でも、葵先輩はヘアピンについては何も言わず、別のことを質問してきた。

「……誘ったんですけど、断られちゃいました。うるさいのは苦手だ、踊るのも興味ないって」
 本当はいまでも漣里くんと一緒に踊りたいと思ってる。
 けど、無理強いはできないもんね……嫌々付き合ってもらったって、ちっとも嬉しくない。

「……残念そうだね?」
「えっ。いえ、……はい」
 見透かすような葵先輩の眼差しの前では意地を張ることもできず、私は観念して俯いた。

「じゃあ僕に任せておいて」
「え?」
 顔を上げると、葵先輩は優しく微笑んだ。
「真白ちゃんは漣里の状況を変えてくれた恩人だからね。僕がなんとかしてあげる。ドレスは持ってる?」
「いえ、持ってませんけども……」
 一年の時は制服で参加したし、漣里くんにダンスを断られたから、買う気にもなれなかった。