「……だって、事実じゃない」
「全然違う。大間違いだ」
漣里くんは真顔で言って、膝に置いていた私の手を取った。
細くて長い指が私の手に絡まる。
彼の手から温もりが伝わってきて、胸がとくん、と鳴った。
「俺も小金井も変なところで辛抱強くて、意地っ張りだから、真白がいなかったら、俺たちはずっとすれ違ったままだった。これが相手のためになるって思い込んで、感情を麻痺させて、きっといまでも理不尽な状況に耐え続けてたよ」
漣里くんは頭を傾かせて、私の肩に乗せた。
「状況を根底から覆したのが真白だ。真白は俺が独りでいるのが嫌だと、不幸になるのが嫌だと泣いてくれた。人に暴力を振るうなって言ったのも真白だろ。もしも俺があのとき、野田に一発でも殴り返してたら、皆が俺を見る目も違ってた」
漣里くんは繋いだ手に、きゅっと力を込めた。
「やられてもやり返さずに耐えるなんて根性がある、お前は凄い奴だなんて褒められることもなかった。兄貴はうまく事後処理してくれたかもしれないけど、そもそもの始まりは真白だ」
「……そ、そう……かな」
発言内容にも、私の手を覆う温もりにも、漣里くんが私の肩に頭を乗せていることにも――全てに私は動揺して、胸がドキドキと鳴りっぱなしで、聞こえてるんじゃないかと不安になる。
「そうだ。言っただろ、俺は真白に感謝してるんだって。疑うのか?」
繋いでいた手が組み変わり、俗に言う『恋人繋ぎ』になる。
「う、ううん、そんなことは……」
ざあ、と気持ちの良い風が吹いて、頭上の枝を揺らす。
校舎の中から生徒たちの話し声が聞こえてくる。
心臓が負荷に耐えかねて爆発しそうだ。
「全然違う。大間違いだ」
漣里くんは真顔で言って、膝に置いていた私の手を取った。
細くて長い指が私の手に絡まる。
彼の手から温もりが伝わってきて、胸がとくん、と鳴った。
「俺も小金井も変なところで辛抱強くて、意地っ張りだから、真白がいなかったら、俺たちはずっとすれ違ったままだった。これが相手のためになるって思い込んで、感情を麻痺させて、きっといまでも理不尽な状況に耐え続けてたよ」
漣里くんは頭を傾かせて、私の肩に乗せた。
「状況を根底から覆したのが真白だ。真白は俺が独りでいるのが嫌だと、不幸になるのが嫌だと泣いてくれた。人に暴力を振るうなって言ったのも真白だろ。もしも俺があのとき、野田に一発でも殴り返してたら、皆が俺を見る目も違ってた」
漣里くんは繋いだ手に、きゅっと力を込めた。
「やられてもやり返さずに耐えるなんて根性がある、お前は凄い奴だなんて褒められることもなかった。兄貴はうまく事後処理してくれたかもしれないけど、そもそもの始まりは真白だ」
「……そ、そう……かな」
発言内容にも、私の手を覆う温もりにも、漣里くんが私の肩に頭を乗せていることにも――全てに私は動揺して、胸がドキドキと鳴りっぱなしで、聞こえてるんじゃないかと不安になる。
「そうだ。言っただろ、俺は真白に感謝してるんだって。疑うのか?」
繋いでいた手が組み変わり、俗に言う『恋人繋ぎ』になる。
「う、ううん、そんなことは……」
ざあ、と気持ちの良い風が吹いて、頭上の枝を揺らす。
校舎の中から生徒たちの話し声が聞こえてくる。
心臓が負荷に耐えかねて爆発しそうだ。


