クールな年下男子と、甘い恋を。

「ああ。兄貴は怒ると本当に怖い。だから、心配しなくても大丈夫だ。兄貴が任せろって言った以上、事態が悪化することはありえない。全部なんとかしてくれる」
「……葵先輩に丸投げしてない?」
「仕方ないだろ。お前はもう関わるな、おとなしくしとけって言われてるんだから」

 話しているうちに学校が近づき、視界内の生徒たちの数も増えてきた。
 前方では、おはよー、と女子が友達と挨拶を交わしている。
 そして、その女子二人組は気遣わしげに漣里くんを振り返った。

「……可哀想……」
「酷いことするよねぇ……」
 ……ん?
 私は断片的に聞こえてくるその言葉と彼女たちの眼差しに、違和感を覚えた。

 これまで漣里くんと一緒にいると向けられてきたのは「ほらあれが噂の」とでも言いたげな、好奇の視線。
 でも、辺りを見回すと、今朝の皆の眼差しには深い同情が宿っている。

 ガーゼに覆われている漣里くんの顔を見て、気の毒そうに眉をハの字にしたり、唇を引き結んだりと――明らかにこれまでとは様子が違う。

「……なんだ?」
 漣里くんも事態の変化に戸惑っているみたい。

「昨日のことが広まってるみたいだね。あれだけ目撃者がいたら当然かもしれないけど。昨日は私も友達にラインで色々聞かれたし……」
 話しているうちに、校門が見えてきた。