クールな年下男子と、甘い恋を。

 翌朝。
 晴れた秋空の下、私は漣里くんと肩を並べて、学校へ続く道を歩いていた。

「……やっぱり一晩じゃ治らないよね」
 漣里くんの顔には昨日と変わらず、大きなガーゼと絆創膏が貼ってある。

「でも痛みは引いた。おまじないのおかげ」
「だったらいいな」
 自己回復力を私の手柄にしようとしてくれるのが嬉しくて、小さく笑う。

 住宅街を抜けて、大通りに差し掛かる。
 しばらく雑談してから、私は切り出した。

「……野田たち、報復しにくるかな」
 不安に駆られ、自然とトーンも落ちる。

「多分大丈夫だと思う。昨日、兄貴はめちゃくちゃ怖かったんだ。表面上はいつも通り笑顔なんだけど、雰囲気が全然違ってて、これまでの顛末を詳しく聞かれた。包み隠さず野田の悪行を全部話せっていうから、小金井が金を巻き上げられてたことも正直に言ったよ。そしたら、なんか薄く笑ってた。怒りの針が振り切れたっぽい」
「それは、怖いね」
 温厚な人ほど怒らせると怖いと聞くけれど、葵先輩はその典型だろう。