「ああ……」
漣里くんはそれだけ言って、背後を振り返った。
廊下にはまだ小金井くんが立っている。
この話は本人に聞かれると都合が悪いと判断したらしく、漣里くんは私を渡り廊下の端っこへと連れて行き、小声で教えてくれた。
「四月に俺があいつを助けたときのことなんだけど」
「うん」
漣里くんにつられて、私も小声で相槌を打った。
「助けた後、あいつ、号泣しながら鼻水垂らして俺に礼を言ったんだ」
「へ」
ぽかんとしてしまう。
……号泣しながら鼻水を垂らした?
あの、小金井くんが?
……脳がその光景を想像することを拒否し、軽い眩暈すら覚えた。
「だから屋上で話したとき、偉そうなあいつを見て、あまりのギャップに俺、ちょっと笑いそうになってた」
え、笑いそうになってたの?
漣里くんはあくまで無表情なので、本気なのか冗談なのかとてもわかりにくい。
ああ、でも――だから、漣里くんはあのとき『小金井はひねくれてるだけで、根はそんなに悪い奴じゃないと思う』なんて庇う発言をしたんだ。
この学校で、きっとただ一人、漣里くんだけが小金井くんの素顔を知っていたから。
酷い悪評にも耐えて、彼を庇い続けていたんだね。
漣里くんはそれだけ言って、背後を振り返った。
廊下にはまだ小金井くんが立っている。
この話は本人に聞かれると都合が悪いと判断したらしく、漣里くんは私を渡り廊下の端っこへと連れて行き、小声で教えてくれた。
「四月に俺があいつを助けたときのことなんだけど」
「うん」
漣里くんにつられて、私も小声で相槌を打った。
「助けた後、あいつ、号泣しながら鼻水垂らして俺に礼を言ったんだ」
「へ」
ぽかんとしてしまう。
……号泣しながら鼻水を垂らした?
あの、小金井くんが?
……脳がその光景を想像することを拒否し、軽い眩暈すら覚えた。
「だから屋上で話したとき、偉そうなあいつを見て、あまりのギャップに俺、ちょっと笑いそうになってた」
え、笑いそうになってたの?
漣里くんはあくまで無表情なので、本気なのか冗談なのかとてもわかりにくい。
ああ、でも――だから、漣里くんはあのとき『小金井はひねくれてるだけで、根はそんなに悪い奴じゃないと思う』なんて庇う発言をしたんだ。
この学校で、きっとただ一人、漣里くんだけが小金井くんの素顔を知っていたから。
酷い悪評にも耐えて、彼を庇い続けていたんだね。


