「でも、もういいよ。全てが明るみになって、兄貴も他の奴らも動き出してくれた。野田はこれから相応の報いを受けることになるはずだ。先輩を苛む悪夢は終わった。だから、顔を上げてくれ」
「…………ありがとう」
床に滴を落とし、ようやく小金井くんは顔を上げた。
眼鏡を片手に持ち、手の甲で荒っぽく涙を拭う。
……なんだ。
小金井くんは、こんなふうに感情をむき出しにして泣いたり、人に謝ることだってできるんじゃないか。
そう思うと、もったいないな、という気持ちが胸のうちで膨れ上がった。
うん、凄く、もったいない。
「……ああ、全く、無様だな。人前で泣くなんて、一生の汚点だ」
小金井くんは再び眼鏡をかけ直しながら呟いた。
「そんなことないよ。ちっとも無様なんかじゃない。変に格好つけずに、感情のままに泣いて、謝って、お礼を言った小金井くんは、教室で偉そうにしているときより何倍も、何十倍も格好良かったよ。普段からそんなふうに素直でいればいいのに」
「…………」
ひねくれているという自覚があるのか、小金井くんは無言で口元を引き結んだ。
「いまの小金井くんのほうがずっと素敵だと思う。人としてとっても魅力的だよ」
私は心から笑った。
すると、小金井くんは戸惑ったような顔をした。
急に落ち着かなくなったかのように、ソワソワしながら赤くなった目をあちこちに転じ始めた。
あれ、漣里くんも何か不機嫌そう。
私が内心で首を傾げていると。
「…………ありがとう」
床に滴を落とし、ようやく小金井くんは顔を上げた。
眼鏡を片手に持ち、手の甲で荒っぽく涙を拭う。
……なんだ。
小金井くんは、こんなふうに感情をむき出しにして泣いたり、人に謝ることだってできるんじゃないか。
そう思うと、もったいないな、という気持ちが胸のうちで膨れ上がった。
うん、凄く、もったいない。
「……ああ、全く、無様だな。人前で泣くなんて、一生の汚点だ」
小金井くんは再び眼鏡をかけ直しながら呟いた。
「そんなことないよ。ちっとも無様なんかじゃない。変に格好つけずに、感情のままに泣いて、謝って、お礼を言った小金井くんは、教室で偉そうにしているときより何倍も、何十倍も格好良かったよ。普段からそんなふうに素直でいればいいのに」
「…………」
ひねくれているという自覚があるのか、小金井くんは無言で口元を引き結んだ。
「いまの小金井くんのほうがずっと素敵だと思う。人としてとっても魅力的だよ」
私は心から笑った。
すると、小金井くんは戸惑ったような顔をした。
急に落ち着かなくなったかのように、ソワソワしながら赤くなった目をあちこちに転じ始めた。
あれ、漣里くんも何か不機嫌そう。
私が内心で首を傾げていると。


