クールな年下男子と、甘い恋を。

「図々しいかもしれないけど、私も彼女としてお礼を言わせてほしい。ずっと漣里くんを守ってくれて、ありがとう」

「…………」
 小金井くんは奇妙な顔をした。
 唇を噛んで、ともすれば怒ったように壁を睨んでいる。

 でもそれは、泣き出す寸前の顔で。

「……馬鹿じゃないのか。ああ、君たちはお似合いだよ。二人揃って大馬鹿者なんだからな。阿呆のカップルだ」
 ぼろっ――と、眼鏡の奥の瞳から、一筋、涙が零れた。

「ありがとうとか。礼を言うなんて。はっ、ふざけてるのか」
 もう一方の目からも涙が溢れ、頬を伝い落ちていく。
 小金井くんは泣きながら漣里くんを睨み、早口で言った。

「そもそも君は僕と面識すらない他人、しかも、入学したばかりの下級生だったじゃないか。同じクラスだった一年のときから僕は野田に目をつけられて、ストレス発散用のサンドバッグにされていたんだ。誰もが見て見ぬふりだったさ。誰も、助けてなんかくれなかった」
 小金井くんは自らの頬を流れる涙を頑なに無視して、まくしたてる。

「あのときだって、別に驚くこともない、いつも通りのことだったんだ。なのに君は、路地裏に連れ込まれて殴られていた僕を見て――本当に、全く無関係の、たまたま現場を目撃しただけの第三者だったくせに、何やってるんだって血相を変えて――本気で怒って、あっという間にあいつらをぶちのめして、大丈夫かって手を差し出して――僕はそんなこと、一言も頼まなかったぞ」
「ああ、そうだな」
 漣里くんは静かに肯定した。