クールな年下男子と、甘い恋を。

「そうだ、真白。やって、おまじない」
「おまじない……あ」
 すぐに思い当たった。
 漣里くんが指を怪我したときに行った、痛いの痛いのとんでいけ、だ。

 私はリクエストに応えるべく、漣里くんの頬を両手で包んだ。
 ふと思いつき、言ってみる。

「ちょっと屈んで」
「?」
 漣里くんは不思議そうな顔をしながらも、私の指示通りに、上体を屈めた。

 私は逆に背を伸ばし、彼の額に自分の額をくっつけた。
 湿布の匂いと、微かに消毒液の匂いがする。

 くっつけあった額からじんわりと彼の温もりが広がっていく。
 漣里くんがびっくりしているのを見ながら、目を閉じ、唱える。

「痛いの、痛いの、とんでいけ」

 どうかこの呪文に、効果がありますように。
 一秒でも早く、怪我が治りますように――。

 私は心から祈りながら、ゆっくり唱えた。
 目を開けると、漣里くんは顔を赤くしていた。