クールな年下男子と、甘い恋を。

「漣里くんは立派だったよ! 本当に格好良いよ! やろうと思えばやり返せたのに、それを我慢したんだもん、偉いよ! 恥ずかしいとか、情けないとか、そんなこと言う人がいたら私が怒る! 怒鳴りつけてやるから!」
「ああ。それでいい。そのほうが嬉しい」
 漣里くんは私を優しく抱きしめた。

「後悔なんてしないで、真白はただ肯定してくれたらいいんだ。わかったらもう泣くな。言っただろ、真白が泣くのは一番辛い。それに比べたら殴られたことなんて痛くもなんともないんだ、本当に」
 漣里くんの手が、私の頭を撫でる。
 続いて、ぽんぽん、と背中を軽く叩かれた。

 不器用なその慰め方が酷く彼らしくて、私はつい笑ってしまった。

「やっと笑った」
 その微かな笑い声が耳に届いたらしく、漣里くんは少しだけ弾んだ声でそう言って、身体を離した。
 私はガーゼに覆われ、絆創膏が貼られたその顔を、真正面から見つめた。
 いま私がすべきことは、現状から目を逸らし、漣里くんの身に起きた悲劇を嘆くことなんかじゃない。

 こんなに酷い怪我を負わされても我慢したんだね、頑張ったねって、彼女として彼を支え、肯定することなんだ。
 悟ったとたんに、胸を塞いでいた大きな塊が溶け、消えていった。

 やっと落ち着いて呼吸ができるようになった気がする。
 まっすぐな私の目を見返して、漣里くんは微かに笑った。
 そう、それでいい、とでもいうように。