クールな年下男子と、甘い恋を。

「……まあ、多少は」
「……ごめんね。漣里くんのクラスの子が教えてくれたときに、もっと早く駆けつけられれば良かった」
 ぽつ、と流した涙が胸の上に落ちる。

「そんなこと――」
「私、漣里くんが反撃しなかったって聞いて、約束を守ってくれたんだって嬉しかったけど、でも、あんなこと言うんじゃなかったって、後悔してるのも本当なの」
 私は漣里くんの肩に顔を埋めた。

「こんな酷い目に遭うくらいなら、殴り返してでもいいから無事でいて欲しかったって……」
 大粒の涙がぽろぽろと零れる。

 暴力を振るっては駄目だという自分の言葉が間違っていたとは思えないし、思いたくないのに――それでも、漣里くんの痛々しい姿を見るくらいなら、あんな卑劣な奴ら暴力で叩きのめして何が悪いの、なんて恐ろしいことを考える自分がいるのも本当だった。

「違う。殴り返したらあいつらと同じクズに成り下がるだけだ。真白は間違ってなんかない。後悔なんてしないでくれ」
 漣里くんは私を抱きしめた。

「真白はできるだけのことをしてくれた。息を切らして、全力で駆けつけてくれた。凄く嬉しかった」
「でも……」
 私の弱々しい反論を、漣里くんはかぶりを振って止め、さらに強く抱きしめてきた。

「俺は真白に感謝してる。前にあいつらを殴ったときは、ただ空しくなっただけだった。でも、いまは自分が誇らしい。あれだけ殴られたのに一発もやり返さなかった。それなのに、真白が後悔したら全部台無しだ。真白はいまの俺を見て恥ずかしい、情けないって思うのか?」
「そんなこと思ってない!」
 私は弾かれたように、勢いよく顔を上げた。
 涙を零したまま、必死で訴える。