クールな年下男子と、甘い恋を。

 本棚と机のセットがあるだけの小さな部屋。
 文化祭準備期間中ということもあり、中には誰もいない。
 漣里くんもそれを見越してここに来たのだろう。

 彼は私を部屋に連れ込むと、電気をつけて扉を閉めた。
 生徒たちの声が少しだけ遠くなる。

「座って」
 立ち尽くしていると、漣里くんに促された。
 とりあえず、一番近い机に腰掛ける。
 漣里くんも隣の椅子を引いて座った。

「真白」
 彼が私の名前を呼ぶ。その声だけはいつも通りだった。
 顔をあげれば、いつもとは全く違う惨状が嫌でも目に飛び込んでくるのに。

「こっち見て。手当てもしてもらったし、もう大丈夫だから。痛くない」
「嘘だ」
 私は反射的に言って、顔を上げた。
 彼の頬を覆うガーゼに手を添える。

 怪我に障ることのないように、そっと。

「痛かったでしょう?」
 泣きそうになりながら問う。