クールな年下男子と、甘い恋を。

 私の働きかけが、いい加減に野田の呪縛から解放されたいと願う小金井くんの背中を押したんだ。
 小金井くんが教室でやたらと攻撃的で、人を見下すような発言を繰り返していたのも、真相を知ったいまなら、野田たちによる多大なストレスが原因だとも考えられる。

 ――君の短絡的行為によって、僕はいまでもあいつらにつきまとわれてるんだ。いい迷惑だよ、全く。

 屋上でのあの言葉も、半分は本音だったんだろう。

 恩人に感謝する気持ちと、漣里くんを庇うためにお金を支払い続けなければならないという状況の板挟みになって、苦しかったんだろうな……。

「その話を聞いて、俺は『お前らクズだな』って言った」
「……その言葉が野田たちに火をつけたんだね」
「ああ。こうなるとわかってて、わざと怒らせた。俺自身が暴力の証拠だ。一方的に殴られた現場を多くの生徒が目撃した以上、もう前みたいな『不良同士のただの喧嘩』じゃ済まされない。あいつらはこれから裁きを受けることになる」
「そうだね……」
 でも。
 それなら良かった、とはとても思えない。

「……なあ、真白。なんでこっち見ないの?」
 何故って、ガーゼに覆われた顔を直視するのが辛いから。
 どうしてもっと早く到着できなかったのかと、手のひらに爪を立て、自分を責め続けているから――。

 答えられずにいると、突然、漣里くんに手を掴まれた。

「ちょっと来て」
 漣里くんが私を連れて行ったのは、自習室として生徒に開放されている部屋だった。