「中村さん、だよね?」
「えっ。どうして私の名前を?」
みーこは手を下ろし、目を瞬いた。
「深森さんから君のことは聞いてたから。助かったよ、ありがとう。でも、今のは僕も間に合った」
「……余計なことでしたか?」
みーこが不安そうな顔をする。
「そうだね、守ろうとしてくれた気持ちはもちろん嬉しいけど、女の子に守られるのは僕の本意じゃないな。立場が逆だ。女の子を守るのが男の仕事でしょう?」
「いえ、でも、私、柔道部ですし……強いですよ? 見たでしょう?」
「ううん。柔道部だろうと、いくら強かろうと、関係ないよ」
葵先輩は頭を振って、優しく微笑んだ。
「可愛い顔に傷でも作ったらどうするの。女の子なんだから、無茶はしちゃだめだよ。もっと自分を大事にして」
光り輝くような葵先輩の笑顔に、ぶわっと、みーこの顔が真っ赤になる。
彼女の周囲に花が乱舞する幻影が見えた。
「は、はいぃっ……!」
みーこは握った左手を右手で覆い、その手を口元にやった。
二人の頭上で教会の鐘が鳴り、小さな天使たちがラッパを吹いている。
……落ちたな、みーこ。
もう彼女の脳内からは浮気性の彼氏の存在なんて完全に蒸発していることだろう。
「さあ、後は任せて保健室に行っておいで」
葵先輩は一人の女子を陥落させた事実に気づくことなく、こちらを見てそう言った。
「えっ。どうして私の名前を?」
みーこは手を下ろし、目を瞬いた。
「深森さんから君のことは聞いてたから。助かったよ、ありがとう。でも、今のは僕も間に合った」
「……余計なことでしたか?」
みーこが不安そうな顔をする。
「そうだね、守ろうとしてくれた気持ちはもちろん嬉しいけど、女の子に守られるのは僕の本意じゃないな。立場が逆だ。女の子を守るのが男の仕事でしょう?」
「いえ、でも、私、柔道部ですし……強いですよ? 見たでしょう?」
「ううん。柔道部だろうと、いくら強かろうと、関係ないよ」
葵先輩は頭を振って、優しく微笑んだ。
「可愛い顔に傷でも作ったらどうするの。女の子なんだから、無茶はしちゃだめだよ。もっと自分を大事にして」
光り輝くような葵先輩の笑顔に、ぶわっと、みーこの顔が真っ赤になる。
彼女の周囲に花が乱舞する幻影が見えた。
「は、はいぃっ……!」
みーこは握った左手を右手で覆い、その手を口元にやった。
二人の頭上で教会の鐘が鳴り、小さな天使たちがラッパを吹いている。
……落ちたな、みーこ。
もう彼女の脳内からは浮気性の彼氏の存在なんて完全に蒸発していることだろう。
「さあ、後は任せて保健室に行っておいで」
葵先輩は一人の女子を陥落させた事実に気づくことなく、こちらを見てそう言った。


