クールな年下男子と、甘い恋を。

 こ、怖い……。
 思わず漣里くんの腕にしがみついたのと同時。

「成瀬くん!」
 一人の女子が必死の形相で葵先輩に駆け寄った。

「私たち、これから野田たちを監視する! ファンクラブ緊急会議を開いて、時海に通う女子一丸となって弟くんを守るって誓うから、だから安心して!」
「女子だけじゃない、俺らも守るぞ! 成瀬の弟は俺の弟だ!」
 サッカー部の部長を務めていた、筋骨隆々の三年男子が手を上げた。

「どんなトンデモ理論だよ……」
 小声で呟く漣里くん。

「俺も誓います! 先輩が卒業した後も俺たち全員が成瀬を守ります!」
 この場の異様な雰囲気に流されたのか、あるいは本気なのか、相川くんまでもそう言ってくれた。

「みんな、ありがとう……」
 感極まったような顔で、お礼を言う葵先輩。
 でも、私はそこで、見てしまった。

 この大騒動を引き起こした当の葵先輩の唇が、「計画通り」とでもいうように、小さく歪むところを。

 さ……策士だ、葵先輩!
 自分の持つ絶大な影響力を完全に把握してる……!!