クールな年下男子と、甘い恋を。

「嫌です成瀬先輩!」
「先輩は私の生きがいなんです! 先輩がいなくなったら、なんのために時海に通えばいいんですか!?」
「そうですよ! 先輩は時海のアイドル、至宝なんです! 転校なんて嫌です、どこかへ行ってしまわないでください!」
「成瀬くんがいない毎日なんて考えられないよ! お願い、考え直して!」
「でも……また弟が暴行されたらと思うと、恐ろしくて、不安で……」
 葵先輩は手で口を覆い、長いまつ毛を伏せた。

 その目の端にきらりと輝くのは、真珠のように美しい涙。
 ある生徒は悩殺されたかのようにその場に崩れ落ち、ある生徒は顔を真っ赤にし、ある生徒は――いや、ほとんどの生徒が似たような反応を見せた。
 彼あるいは彼女たちは一斉に倒れている野田たちを振り返り、彼らの元に殺到した。

「おいこら野田ぁぁぁ!!」
「ふざけてんじゃねえぞテメエ!!」
「しがない不良の分際で成瀬を泣かせるとは何事だあああ!!?」
「あんたらのせいで成瀬くんがいなくなっちゃうかもしれないじゃない!」
「超迷惑! 超最悪っ、サイッテー!!」
「この××っ! ▼▼っ!!」
 げしっ! げしっ!!
 大勢の生徒が野田たちを囲み、その身体を踏みつけている。