「ああ、なんとか」
「漣里」
葵先輩が歩み寄ってきたため、私たちは会話を止めた。
みーこが脇にどけると、葵先輩は漣里くんの腫れた頬に手を伸ばした。
「手酷くやられたみたいだね……痛かったでしょう」
「別に……ていうか、なんでここに?」
「あの子が家庭科室まで呼びに来てくれたんだよ。漣里が危ないからとにかく来てくれって」
葵先輩はギャラリーのうちの一人の男子を視線で示した。
その男子――漣里くんと同じクラスの相川くんがぺこりと頭を下げた。
「……ああ、そう」
漣里くんはなんだか複雑そうな顔。
「何か気に入らないって顔だね?」
「おいしいとこだけもってかれた気がする……俺だってやろうと思えばできた、あれくらい」
「何言ってるの。じっと黙って耐えたんでしょう、立派だったよ、漣里」
葵先輩は微笑んで、弟の頭を優しくなでた。
「うん。凄いよ。本当に……本当に、偉かったよ!」
私が同意すると、漣里くんは顔を背けてしまった。
「漣里くん?」
心配になって問う。
「いや……俺いま、酷い顔になってると思うから。あんま見ないで」
「そんなこと……」
私たちが会話する一方で、騒ぎを聞きつけたのか、さらに五人ほどギャラリーが増えた。
えっ、ちょっとこれどうしたの、やばくない、などと女子たちが囁き合っている。
「漣里」
葵先輩が歩み寄ってきたため、私たちは会話を止めた。
みーこが脇にどけると、葵先輩は漣里くんの腫れた頬に手を伸ばした。
「手酷くやられたみたいだね……痛かったでしょう」
「別に……ていうか、なんでここに?」
「あの子が家庭科室まで呼びに来てくれたんだよ。漣里が危ないからとにかく来てくれって」
葵先輩はギャラリーのうちの一人の男子を視線で示した。
その男子――漣里くんと同じクラスの相川くんがぺこりと頭を下げた。
「……ああ、そう」
漣里くんはなんだか複雑そうな顔。
「何か気に入らないって顔だね?」
「おいしいとこだけもってかれた気がする……俺だってやろうと思えばできた、あれくらい」
「何言ってるの。じっと黙って耐えたんでしょう、立派だったよ、漣里」
葵先輩は微笑んで、弟の頭を優しくなでた。
「うん。凄いよ。本当に……本当に、偉かったよ!」
私が同意すると、漣里くんは顔を背けてしまった。
「漣里くん?」
心配になって問う。
「いや……俺いま、酷い顔になってると思うから。あんま見ないで」
「そんなこと……」
私たちが会話する一方で、騒ぎを聞きつけたのか、さらに五人ほどギャラリーが増えた。
えっ、ちょっとこれどうしたの、やばくない、などと女子たちが囁き合っている。


