クールな年下男子と、甘い恋を。

 しばらく歩いて、私の家に着いた。
 二階建ての自宅の隣には父が祖父母から引き継いだお店がある。
『深森食堂』という大きな木の看板を見て、漣里くんは任務完了と思ったらしい。

「じゃあ」
「待って!」
 私に鞄を渡して帰ろうとした漣里くんの腕を、とっさに掴む。

「まだ何か用事?」
「うん。超特急で部屋を片付けるから、五分だけ待ってて。自転車はあそこに置いてくれたら大丈夫だから」
「は?」
 自宅の自転車置き場を指すと、漣里くんは怪訝そうな顔をした。

 うん、予想通りの反応だ。
 私だって男子を部屋にあげたことはないから、これでも物凄く緊張してるんだよ。

 めいっぱい頑張って平静を装ってるんだよ。
 察してください!

「暑い中、わざわざ送ってくれたんだから、お礼をさせてほしい。ジュースでも飲んでいかない?」

 だって、ねえ?
 こんなに暑い中、家まで送り届けてもらったのに。
 家に着いたから、はいさよなら、なんて、私の主義に反する。
 礼には礼を尽くすべきだ。