クールな年下男子と、甘い恋を。

 ……え。

 呆気に取られている私の前――つまり、私と漣里くんを守るように立ちはだかり、片手で野田の拳を止めているのは、まさかの――

「……葵先輩!?」
 すっとんきょうな声で名前を叫ぶ。

「よく耐えた、漣里」
 葵先輩は野田の拳を止めながら、少しだけ振り返って微笑んだ。

「ついでに言うと、さっきの台詞、お兄ちゃんは結構感動した――よっ」
 葵先輩は最後の台詞で、野田の拳を振り払うように横へ弾いた。

 拳を止められただけで力量を悟ったのか、野田はすぐに標的を葵先輩へと切り替えた。

 憤怒の眼差しが葵先輩を貫く。
 でも、葵先輩は涼しい顔だった。

 いや――涼しく見えるのは表面だけで、内心は怒りの炎を燃やしているらしく、その目は据わっていた。

「何があったか知らないけど、誰がどう見ても悪いのは君たちだよね? 弟に何してくれてるの? 返答次第じゃ許さないよ?」
「てめえが許そうが許すまいが知ったことかボケ! いきなり現れて何説教かまそうとしてんだ、ああ!?」
 私は耳を疑った。
 先輩になんて口の利き方なの!?

「王子だかアイドルだかなんだか知らねえが、頭の悪い女子どもにちやほやされていい気になってんじゃねえぞ!」
「行く先々でハーレム作りやがって、目障りなんだよ!」
「ただの嫉妬だよね、それ」
 吠える野田と上杉に、葵先輩は冷静に切り返した。
 図星を突かれた二人の顔が赤くなり、野田は「上等だぁ!!」と叫んで葵先輩に殴りかかった。