クールな年下男子と、甘い恋を。

「はい?」
 尋常ではない様子に、不安を覚えながら立ち上がる。
 わざわざ二年の私のクラスにまでやって来るってことは、相当なことだよね……?

 蜂の巣をつついたように、胸の中がざわめき出す。
 私の接近を待たずに、彼女は興奮気味にまくしたてた。

「私は成瀬くんと同じクラスの末石《すえいし》っていいます。段ボールが足りなくなって、あ、知ってるかもしれませんが私のクラスはお化け屋敷をするから段ボールがたくさん必要で、それで、成瀬くんが相川《あいかわ》くんと追加の分を取りに行ってくれるって言って、さっき帰ってきたんですけど、いえあの、帰ってきそうだったんです! 窓から相川くんと台車を引っ張ってる姿が見えたんです! たまたま私は廊下にいたんで、窓から見えたんです」
 混乱しているせいか、末石さんの説明は要領を得なかった。
 相川くんという子は漣里くんが「友達になれそうな人」と言っていたから知っている。

 漣里くんをクラスの輪に入れるために橋渡しをしてくれた男子だ。

「私は手伝おうと思って、外に出たんです。そしたら成瀬くんがいなくなってて、相川くんがおろおろしてて、どうしたのって聞いたら成瀬くんが野田先輩に連れて行かれたって!」
「!!」
 ざあっと、一斉に私の顔から血の気が引いていくのがわかった。

 ……嘘でしょう?
 なんでいまさら、どうして野田くんたちが干渉してくるの?
 しかもこのタイミングで? 

 放課後っていっても、文化祭準備のためにたくさんの生徒が残ってるのに。

 心臓がどくどくとうるさい。
 漣里くんの隣で平和に笑っていた昼休憩の出来事が、遠く感じる。