クールな年下男子と、甘い恋を。

 線引きに失敗したのか、眉間に皺を寄せ、消しゴムで消し始めた。
 ……彼が野田くんたちに虐められていたなんて、私は全く知らなかった。

 一年のときは別クラスだったし、苗字がそのまま席順になっていた二年のクラス替え当時、彼とは席も離れていたし、印象も薄い。

 でも、思い返してみても、彼が顔に怪我をしていたとか、そんなことはなかったはず。

 小金井くんはいつから野田くんたちに虐められていたんだろう。
 漣里くんが助けたそのときだけ、突発的に暴力を振るわれたのかな?

 経緯が気にはなるけれど、個人のデリケートな問題に立ち入るほど私は無神経じゃない。

 それに、まだ彼が漣里くんに対して放った暴言を根に持っている。

 彼も私のことが気に入らないみたいで、あれからお互い言葉を交わすどころか、ろくに目を合わせることすらなかった。

 これ以上は関わらないほうがお互いのためなのだろう。
 真相が明るみに出ても、野田くんたちが特に行動を起こすことはなかったし、過去がどうあれ、現在《いま》が平和ならそれでいい。

 孤立していた漣里くんがクラスメイトたちと仲良く過ごせているなら、私は満足だ。