クールな年下男子と、甘い恋を。

「わざわざデート中に乱入したのは、深森さんにお礼を言いたかったからなんだ」
「え、私ですか?」
 思い当たる節がなく、私は口の中の野菜炒めを飲み込み、首を傾げた。

「うん。漣里がやっと重い腰を上げて、汚名をすすぐべく動き始めたのは、君のおかげでしょう。僕が兄だからだろうけど、僕の前で漣里を悪く言うような子は誰もいなかったし、聞いても知らないとごまかされるばかりで、歯がゆかったんだ。かといって、漣里は僕に助けを求めるどころか、気にしなくていい、俺も気にしてないって、その一点張りなんだよ。ずっとこのままなのかなって心配してたから、君には感謝してるんだ、本当に。ありがとう」
「いえ、そんな、私は全然」
 私は大慌てで両手を振った。
 傍観していた漣里くんが、少しだけ不思議そうな顔で葵先輩を見る。

「兄貴、噂のこと気にしてたのか?」
 その問いかけに、葵先輩はとっても怖い笑顔を浮かべた。

 あ、怖い。本当に怖いです葵先輩。

 漣里くんも暗黒のオーラに恐怖を覚えたらしく、ちょっと引いてる。

「お前はどこの世界に弟の悪評を笑って聞き流せる兄がいると思ってるんだ?」

「すいません」
 漣里くんが頭を下げた。
 恐怖故か、非常に珍しい反応をした漣里くんに、葵先輩が怒りのオーラを解き、苦笑する。