クールな年下男子と、甘い恋を。

 そしてお決まりのように、彼の元には女子が群がった。

「一緒に食べましょう」「いや私と」以下略。
 その光景は、さながら美しい花に集う蝶の群れ。

 葵先輩は控えめな笑顔を浮かべて女子たちと会話し、不意にこちらを見た。
 眼鏡の奥の目が私と合う。

 彼は面白いものを見たかのように笑って、やんわりと女子たちの誘いを断り、こちらへやってきた。

「同席しても良いかな? 深森さん、漣里」
「あ、はい。私は構いませんけれども」
 向かいの漣里くんの顔色を窺う。

「……。なんでわざわざこっちに来るんだよ」
 漣里くんは微妙に不機嫌顔。

「いいじゃない、学校で顔を合わせることってそうそうないでしょう? それともデートの邪魔だった?」
「別にそういうわけじゃ……」
「じゃあいいよね」
 葵先輩は漣里くんの隣に腰を下ろした。

 直後、私と漣里くんしかいなかった六人掛けの席は女子で埋まった。
 椅子取りゲームの如き速さだった。
 葵先輩の隣の席をゲットした女子なんて、ガッツポーズすらしている。
 その向かいの席の女子は天に感謝する祈りのポーズだし。
 瞬間的に始まった椅子取りゲームに負けた女子たちが悔しそうな顔をして、別の席に座っていく。

 ……葵先輩の効果、凄い。
 ぽっかり空いていたはずの、近くの席が全部埋まっちゃったよ。