クールな年下男子と、甘い恋を。

 それぞれ頼んだメニューが載ったトレーを持ち、食堂に並ぶ長方形の白いテーブルのうち、空いている席に向かい合って座る。

 次々と生徒が押し寄せ、席は埋まっていったけれど、私と漣里くんが座った窓際の六人掛けテーブルには誰も来ない。

 ……うーん、やっぱりまだ敬遠されてるみたいだなぁ。

 遠くのほうからちらちら見てくる人もいるし。

 でも、夏休み明けのような零下の眼差しじゃないだけ良しとするべきか。
 気にしないようにしよう、と自己暗示をかけ、漣里くんと談笑していると。

 急に食堂内がざわついた。
 主に女子たちが。

 ん?
 気になって、私は食堂の入り口を見た。
 無数の視線の交差点にいるのは葵先輩だった。

 葵先輩はカウンターで学食を注文しているけれど、その姿は決して生徒の中に埋没したりはしない。
 むしろ同じ服を着た群衆の中にいるからこそ、異彩を放って見える。

 私の後ろの席にいた女子が、ほう、とため息をつく音が聞こえた。

 ……凄いなぁ、葵先輩。
 わかめうどんが載ったトレーを持って歩いてるだけなのに、皆、釘づけだよ。
 葵先輩を中心に、きらきらと光の粒子がまき散らされて見えるのは目の錯覚なのかな。

 葵先輩が持っていると、ただのわかめうどんが高級料理に見えてしまうマジック。