クールな年下男子と、甘い恋を。

「私のことよりも自分のことを心配して。クラスで孤立してるって、全然うまくやっていけてないって、どうして正直に言ってくれなかったの。私のためを思ってくれてるのはわかる、でも、それで私が本当に喜ぶと思ってる? こんな寂しい場所で独りでいる漣里くんを見て、私がどんな気持ちになったと思う?」

 漣里くんがどんなに温かい手をしているか、漣里くんのクラスの子も、他の子も、誰も知らない。

 それが悔しくて仕方ない。
 私は漣里くんの手を取ったまま、嗚咽して訴えた。

「お願いだからもっと自分のことを大切にしてよ。半年も他人のために泥をかぶってきたんでしょう、もういいでしょう? 本当のことを話そうよ。噂は全部嘘だ、野田くんたちを殴ったのだって理由があるって、皆に言おうよ。私はこの先ずっと聞きたくもない誹謗中傷を聞かなきゃいけないの? もう無理だよ、耐えられないよ。私は……」

 しゃくりあげて、さらに言葉を続けようとした瞬間。
 私の手から漣里くんの手が抜けた。
 そして、抱きしめられた。

「――?」
 びっくりしてしまって、言葉が止まる。
 背中に回っている漣里くんの腕、肩に置かれた手の感触に、これから言おうとしていた台詞が一瞬で消えた。

「ごめん。そんなに悩ませてたなんて気づかなくて――俺が我慢すればそれで済むと思ってた。でも勘違いだった」

 顔をあげれば、すぐそこに漣里くんの顔があって、ドキドキと胸が鳴る。
 私の体を抱く漣里くんの手に、力がこもった。