クールな年下男子と、甘い恋を。

 野田くんの右にいるのが上杉敦《うえすぎあつし》。
 ブリーチで脱色した髪に、そり上げた眉。
 野田くんとは対照的に、彼は細身の体格だった。
 ただし野田くんの右腕になるほど喧嘩は強いと聞く。

 左にいるのが小太りの加藤剛《かとうつよし》で、彼は野田くんと上杉くんの腰巾着。
 野田くんの祖母は市議会議員で、加藤くんの叔父さんは教育委員会の委員らしい。
 だから先生たちも彼らにはあまり強く注意できないんだと聞いた。

 漣里くんが殴った相手が五組の野田くんだということを知って、私はどんな人なのかと情報を集め、実際に見に行ったことがある。
 ちょうど昼休憩だったそのとき、野田くんは林くんという男子生徒にパンを買いに行かせていた。

 林くんは気弱そうな生徒。
 直感的に漣里くんが庇った相手は林くんだろうと思った。

 五組の生徒の話によれば、林くんは入学当初から野田くんに目をつけられ、苦労しているそうだ。

 それを気の毒に思う生徒もいるけれど、自分に火の粉が降りかかると困るから、皆見て見ぬふり。

 教師もなんとなく察していても、野田くんたちの背後にいる権力者のことを思うと強くは言えない。

 多分、この学校で一度でも野田くんたちの横暴を止めたことがある勇者は漣里くんだけだ。