クールな年下男子と、甘い恋を。

 後は任せて行っといで、と言ってくれたみーこに感謝しながら、私は教室を出た。
 最初は歩いていたけれど、徐々に早足になって、階段を下り、渡り廊下を渡る。

 去年過ごしていた一年二組を通り過ぎ、いざ漣里くんがいる三組へ。
 三組に近づくと、ペンキの匂いが鼻をついた。

 ……ここが漣里くんが普段過ごしている教室か。
 学校において、教室は小さなコミュニティだ。

 早朝や放課後とかで、たとえそこに誰もいなかったとしても、自分以外のクラスに立ち入るのはなんだか気が引けるし、緊張する。

 場違いだよって、知らない展示や日直の名前、空気そのものに教えられる。
 人様の家を覗き見るにも似た気分で、どきどきしながら、教室の後方の扉から様子を覗く。

 三組の生徒たちは、机を教室の前方にまとめて寄せていた。
 教室にいる半分くらいの生徒が空いたスペースに段ボールを広げ、黒いペンキを塗っている。

 友達と談笑したり一人で黙々と手を動かしていたりと、作業している生徒の表情は様々。

 他にも、寄せられた机に座って事務作業をしている生徒や、教壇に座って雑談している生徒がいる。
 でも、見回しても、どこにも漣里くんの姿はなかった。

「あの」
 盛り上がってるところを悪いな、なんて思いながら、私は扉の一番近くにいた男子生徒に話しかけてみた。