「成瀬くんは否定しなかったの?」
「最初のうちは。でも、そいつ、外面だけは天使だったから。友達も多かったし。男も女もそいつの言いなりで、別のクラスの奴まで味方につけて、徒党を組んで悪者にされたら、太刀打ちできなかった。だんだん付き合うのも面倒くさくなって、もう好きに言えばいいと思って」
「……で、事実は捻じ曲げられ、ありもしない過去が捏造された、と……」
淡々と説明する漣里くんに、みーこは額に手を当てて、ため息をついた。
「気持ちはわからないでもないけど、そこは頑張ろうよ。全力で否定しようよ。それをさぼったおかげで、女子の間じゃ有名な話になっちゃってるよ? 私だって信じてたし。その噂だけじゃなくて、他にも酷い噂が流れてるってのに、ほんとに成瀬くんはこのままでいいわけ? 野田を殴ったのだって誰かのためなんでしょ?」
「いいよ」
「…………」
漣里くんの肯定に、みーこは黙り込んだ。
本人がいいのなら部外者が口を出す筋合いではないと思っているのだろう。
でも、正義感が強く、曲がったことを嫌う彼女の顔には抑えきれない不満が滲んでいた。
漣里くんはなんとも思ってないような無表情だけど、でも、そんなわけない。
濡れ衣を着せられて、複数の男女に非難されて、それはそれは傷ついたはずだ。
「……漣里くんに告白した子って、この学校にいる?」
固く手を握り締めながら尋ねる。
「いや、別の学校」
「……そう。残念……ここにいたら、いますぐにでも漣里くんの前に連れてきて、土下座させるのに」
限りなく低い声で、ぼそっと呟く。
「最初のうちは。でも、そいつ、外面だけは天使だったから。友達も多かったし。男も女もそいつの言いなりで、別のクラスの奴まで味方につけて、徒党を組んで悪者にされたら、太刀打ちできなかった。だんだん付き合うのも面倒くさくなって、もう好きに言えばいいと思って」
「……で、事実は捻じ曲げられ、ありもしない過去が捏造された、と……」
淡々と説明する漣里くんに、みーこは額に手を当てて、ため息をついた。
「気持ちはわからないでもないけど、そこは頑張ろうよ。全力で否定しようよ。それをさぼったおかげで、女子の間じゃ有名な話になっちゃってるよ? 私だって信じてたし。その噂だけじゃなくて、他にも酷い噂が流れてるってのに、ほんとに成瀬くんはこのままでいいわけ? 野田を殴ったのだって誰かのためなんでしょ?」
「いいよ」
「…………」
漣里くんの肯定に、みーこは黙り込んだ。
本人がいいのなら部外者が口を出す筋合いではないと思っているのだろう。
でも、正義感が強く、曲がったことを嫌う彼女の顔には抑えきれない不満が滲んでいた。
漣里くんはなんとも思ってないような無表情だけど、でも、そんなわけない。
濡れ衣を着せられて、複数の男女に非難されて、それはそれは傷ついたはずだ。
「……漣里くんに告白した子って、この学校にいる?」
固く手を握り締めながら尋ねる。
「いや、別の学校」
「……そう。残念……ここにいたら、いますぐにでも漣里くんの前に連れてきて、土下座させるのに」
限りなく低い声で、ぼそっと呟く。


